映像業界は、テレビ・CM・映画など、映像全般にまつわる業界を指します。制作全般の指揮を取る企画系と、現場で制作にあたる技術系の職種があり、それぞれどのような仕事内容なのか気になる人もいるでしょう。
本記事では、映像業界の主な職種や仕事内容を解説します。映像業界の現状と将来性も紹介しているため、映像業界に興味がある人は参考にしてください。
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映像業界とは？
映像業界とは、映像全般にまつわる業界のことです。具体的には、次のようなメディアを指します。
- テレビ
- アニメ
- CM
- 映画
- ゲーム
- 動画サイト
- SNS
- 広告
- ミュージックビデオ
- アプリ
働く場所はテレビ局や映画制作会社のほか、企業や個人向けのコンテンツを制作する映像制作会社、ゲーム・アプリの制作会社などがあります。
映像業界は情報通信業に分類されるものの、自治体や企業が広報のために動画を制作したり、結婚式の撮影を手がける会社があったりと、関連する業種や企業は多岐にわたります。
映像業界の主な職種と仕事内容
映像業界の職種は、主に企画系と技術系に分類されます。それぞれの職種と仕事内容について、くわしく見ていきましょう。
企画系
企画系は、映像制作の予算や人員配置、スケジュール管理など、企画・制作全般の指揮を取る仕事です。ここでは、企画系の主な職種と仕事内容を紹介します。
プロデューサー
プロデューサーは、テレビや映画などの映像作品の総責任者です。企画の立案やスタッフ・出演者のスケジュール管理、スポンサーからの資金調達などをおこないます。制作が始まると、現場での指示出しは映画監督やディレクターに任せ、全体の指揮を取る立場になります。
現場をよく理解している必要があるため、仕事を始めてすぐにプロデューサーになれるわけではありません。アシスタントディレクターから始め、仕事を覚えながらディレクター、アシスタントプロデューサーを経験し、プロデューサーへ昇格する流れが一般的です。
ディレクター
ディレクターは、映像制作の現場で指揮を取る仕事です。映画の場合は「映画監督」と呼ばれることもあります。プロデューサーが出した企画に沿って人材を配置したり、カメラマンや編集者へ指示を出したりするのが主な役割です。
撮影や編集の良し悪しを判断しながら進めていくため、作品の出来はディレクターの手腕に大きく左右されます。ディレクターになるには、アシスタントディレクターから始め、経験を積んで昇格する必要があります。
参照：放送ディレクター – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
制作デスク
制作デスクは、テレビ番組制作の現場で、次のような事務処理や雑務全般を担当する仕事です。
- スタッフとの連絡
- 出演者への連絡
- 控室やスタジオの準備
- 弁当の手配・お茶出し
- クライアントや来客の対応
- 請求書や経費の精算
- 出演者のギャラの精算
- 他番組や過去映像の許可取り
上記以外にも業務内容は多岐にわたり、番組制作のスムーズな進行のために力を尽くします。
基本的にはデスクワークになるため、一定のパソコンスキルがあれば、学歴や経験は重要視されません。経験を積むことで、アシスタントディレクターやアシスタントプロデューサーへのキャリアアップも目指せます。
構成作家
構成作家は、テレビ番組の流れや企画内容など、全体の段取りを作る仕事です。ディレクターと打ち合わせをしながら、ナレーションや出演者に話してもらう内容や企画コーナーの詳細、CMに入るタイミングなどを決めていきます。
構成作家になるには、アシスタントディレクターとして経験を積んだり、構成作家に弟子入りしたりする方法があります。
技術系
技術系は、映像・音響・編集などの各専門分野に分かれ、現場で制作にあたる仕事です。ここでは、技術系の主な職種と仕事内容を紹介します。
カメラマン
カメラマンは、制作現場でディレクターの指示に従い、カメラを回して撮影する仕事です。大きく分けて、スタジオで撮影するスタジオカメラマンと、現場に出かけて撮影する取材カメラマンがいます。
未経験からでも始められる仕事ですが、芸術・放送系の専門学校や大学出身者も多くいます。
参照：テレビカメラマン – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
音声
音声スタッフは、テレビ番組や映画の制作現場で音声を録音する仕事です。先端に風よけのついた長い棒状のマイクを持ち、必要な音や声を拾います。
その他、出演者の胸元につけるピンマイクをセットしたり、収録後にミキサーと呼ばれる機械で音のバランスを調整したりするのも、音声スタッフの仕事の一つです。
学歴や資格は不要ですが、知識や経験があれば即戦力として活躍できるでしょう。
MAミキサー
MAミキサーは、出演者の音声や周囲の音など、撮影時の素材の音を整え、聞きやすい状態に仕上げる仕事です。さらに、ナレーションの収録や音声加工を経て、音響オペレーターが用意した効果音を付け、作品を仕上げます。
そのため、音に関する基本知識はもちろん、音声加工や音楽編集ソフトを扱う高い技術が必要です。関連する資格として「映像音響処理技術者（※）」があります。
音響オペレーター
音響オペレーターは「音効（音響効果）さん」とも呼ばれる、映像に効果音をつける仕事です。歩く音や物が落ちる音・笑い声・感動シーンで流れるBGMなど、シーンに合ったあらゆる効果音を選定します。
音に関する専門知識が求められるため、映像・音楽系の専門学校や大学で学んだ経験のほか、楽器を扱う技術があると有利です。関連する資格として「映像音響処理技術者」があります。
照明オペレーター
照明オペレーターは、制作現場で出演者やセットに照明を当てる仕事です。本番での操作のほか、必要な照明機材の選定や設置・調整もおこないます。
映像や電気関係の専門学校・大学で学び、就職するのが一般的ですが、未経験からでも目指せる仕事です。関連する資格には、「照明技術者技能認定」や「舞台・テレビジョン照明技術者技能認定」などがあります。
参照：舞台照明スタッフ – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
参照：舞台・テレビジョン照明技術者技能認定制度及び公開講座 | 日本照明家協会
編集
編集（映像編集者）は、撮影した映像を編集・加工する仕事です。基本的に、まずオフライン編集でカットを選定・調整し、構成がある程度固まったら高画質なオンライン編集で仕上げます。テレビ・映画・CMはもちろん、Web動画の制作で活躍する編集者もいます。
放送・映像・音響系の専門学校で学んで就職するほか、未経験から始めることも可能です。その場合は、まず「サブ」として、メインの映像編集者のもとで経験を積むことになります。
参照：映像編集者 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
CGクリエイター
CGクリエイターは専用のソフトを使用し、作品内で使う映像やアニメーションなどのCG（コンピューターグラフィックス）を制作する仕事です。作業量が多いため、一般的には工程ごとの分業制にし、チームで協力しながら作品を作ります。
資格や学歴は必須ではないものの、CGの知識やデザインを学んだ経験があると有利です。関連する資格には「CGクリエイター検定」があります。
参照：CG制作 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターは、映像作品内で使われる音を制作する仕事です。アニメや映画のテーマ曲・効果音・BGMなど、シーンや世界観に合った音を作ります。自ら作曲するほか、音源の採集や編集、データ化作業などもおこないます。
音響・音楽系の専門学校や大学で身につく、音楽理論などの専門知識はもちろん、音楽制作ソフトや電子楽器を扱うスキルも必要です。関連する資格として、「サウンドレコーディング技術認定試験」や「映像音響処理技術者資格認定試験」があります。
参照：サウンドレコーディング技術認定試験 | 日本音楽スタジオ協会
映像業界の年収
映像編集者と動画制作者を含む、映像業界の全国平均年収は551.4万円です。（※1）（※2）令和5年度の給与所得者全体の平均年収は約460万円となっており、比較すると約90万円高いことがわかります。（※3）
大学や専門学校で専門知識・技術を学んでから就職するのが一般的ですが、未経験から始めて技術を身につけることも可能です。映像業界は学歴を必要としない会社も多く、実力主義の世界のため、スキル次第で高い年収を目指せます。
フリーランスの場合は、技術や能力に大きく左右されるため、年収は300〜1,000万円程度と幅があります。独立したての頃は1本あたりの単価が安く、受注も不安定で年収は上がりにくいでしょう。
一方で、多くのスキルを身につけたり、業界内で知名度が上がってきたりすると、大きな仕事を任せられることも増えてきます。1本あたり数百万円規模の仕事になることもあり、やる気と実力次第で、会社員時代以上の年収も目指せます。
（※1）参照：映像編集者 – 職業紹介 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
（※2）参照：動画制作 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
（※3）参照：令和5年分 民間給与実態統計調査 | 国税庁
映像業界の現状と将来性
これまでの映像業界は、テレビや映画が中心でした。しかし、2022年の日本のコンテンツ市場では映像系ソフトが約6割を占め、地上テレビ番組の約2割を大きく超えています。
日本のソーシャルメディア利用者数は、2019年の約83万人から、4年後の2023年には約106万人に増加しました。インターネットやSNSの普及で、インターネット配信動画やYouTubeなどが手軽に視聴できるようになり、人気が高まったと考えられます。事業を多方面に展開する企業も増えており、映像制作の需要は今後も拡大していくと予想されます。
一方で、「下積み時代がキツい」というイメージから、映像業界への就職を懸念する人もいるかもしれません。近年では、作業の細分化や勤務時間の短縮を進め、仕事環境が改善されている企業も多くあるため、見極めが重要です。
今後の映像業界では、最新のソフトを扱ったり、最新の技術を学んだりといった対応が欠かせません。専門分野の知識を深めるのはもちろん、多様な技術を身につけ、いずれ独立することも視野に入れるとよいでしょう。
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