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プロになるために、そして、なってから必要なもの。 プロになるために、そして、なってから必要なもの。

本日はよろしくお願いします。
まずは、岩本監督にも好きな事でプロを目指した時期があったと思うのですが、プロになる前となった後で考え方など変化したことがあればお聞かせいただけますか?

岩本 僕は学生時代からマンガを描いたり、自主映画や自主アニメなんかをつくっていたんですが、やはりその頃は基本やりたい事だけをやる「オタク」 でした。
そんな好きな事だけをやっていた時期から、プロになって感じたのは、お金をいただいて制作しているという責任感ですね。
1人のミスや遅れが他の制作部署を圧迫したり、想定外の予算が掛かってしまったり、作品に致命的な障害を生みだす事になるからです。
また、自分の好みと仕事で求められるものはイコールではない場合も多いので、様々なニーズを調べる事なども心がけるようになりました。

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PROJECT HALのメンバーにとっては今回の作品がデビュー作となるのですが、岩本監督が初めて作品を手がけたときは、どのような想いでしたか?
そして、つくり終えた時の印象などもお聞かせいただけますか?

岩本 最初は作業を丁寧にこなす事だけで精一杯でした、良いものに仕上がったのかも、上司に聞かないとわかりませんでしたから。
ただ、やはり上司やクライアントが喜んで評価してくれたときは嬉しかったですし、オンエアされたものを自宅で見たときは本当に嬉しかった記憶があります。

授業をする講師ではなく、1つの仕事として向き合ったPROJECT HAL。 授業をする講師ではなく、1つの仕事として向き合ったPROJECT HAL。

PROJECT HALの話を最初に聞いたときはどんな印象で、どんなことを期待されていましたか?

岩本 非常に面白い試みだと思いましたね。
学生には強烈なパワーを持った子や、言葉では言い表せない個性を持った子も多いので、自分的にも刺激になると思いました。
メカニックデザイナーの柳瀬さんと一緒に仕事できるというのも非常に大きかったですね!

今まで数々の作品を手がけられてきたと思いますが、今回のストーリー・演出については、どのようなコンセプトや想いを込めて描かれたのでしょうか?


岩本 ロボットバトルというオーダーをいただきましたので、他のメカとは違う人型ならではの戦い方や見せ方にこだわりました。
それと、ロボットバトルは戦闘そのものと同等に戦闘後の悲哀や情感といったものも大事な要素ですので、哀愁や解放感などを感じさせるカットも盛り込むように心がけました。
あとはリアルな質感で仕上げるという最終目標に向けて、リアリティとヒロイック、両方の表現を盛り込むように意識していましたね。
学生作品としては詰め込みすぎの感もありましたが、結果的には見飽きない作品になったのではないかと思います。

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PROJECT HALのメンバーは16人のチームを組んで制作していったのですが、多くの人と作品をつくるときに岩本監督のこだわりや大切にしていることがあれば教えていただけますか?

岩本 すべての作品で大事にしているのは、スタッフ全員が携わって良かったと思えるように、面白くて良い作品に仕上げる事です。
今回のプロジェクトのように自由度が高くて、あらかじめつくるスタッフが決まっているような作品の場合は、スタッフの得意分野を生かせるように、アニメーションの見せ場やモデルの細部も見せられるシーンなど、見る人だけでなく、つくる人の事も考えて要素を盛り込むように心がけています。

今回、プロから直接指導を受けて制作を行うという、PROJECT HALのメンバーにとっては大変貴重な時間となったんですが、岩本監督ご自身はどのような指導を心掛けていましたか?

岩本 スタート直後は学生ひとり1人の趣向や得意分野が生きるように、なるべく自由な発想でつくってもらうようにしました。
作業者ではなく、アーティストとして、なるべくアイディアを出してもらい、常に考えてつくっていくことを学んでほしいと思ったからです。
そして3校同じコンテとデザインであっても違う作品、彼らの個性を反映した3本の作品になるようにアドバイスしたつもりです。
学生は会いに行くたびに違った反応や成長を示すのでその辺りは指導者としても非常に面白かったですね。

好きであること、好きでい続けること。それがプロ。 好きであること、好きでい続けること。それがプロ。

PROJECT HALのメンバーは日々プロになるために学んでいるんですが、岩本監督にとってプロとはどんな人のことでしょうか?


岩本 プロでも様々な人たちがいますが、ここぞという場面で120パーセント、200パーセントの成果を出す人ではないでしょうか。
つまり、チャンスに気づいて、全力以上の力を注げる人ですかね。

クライアントには「物量」や「質」など様々な要求をされますが、彼らの理想を上回るものをつくるのがプロの一番大事な要素かと思っています。

今まさにプロ(クリエイター)を目指している学生、そしてこれからプロ(クリエイター)になるため、HALに進学を考えている皆さんへ向けて一言お願いします。

岩本 細かい事を多々言いましたが「好きな事を追求していたら、いつの間にかプロになっていた」で良いと思うのです。
仕事では数限りない苦難や、終わる事の無い作業の連鎖になります。
そのときに「好きな事を追求する想い」が無ければ、とても続く仕事ではないからです。
自分も日々、そういった想いを抱いたスタッフに助けられている毎日です。
皆さんにもぜひ、「毎日、好きな事を追求!」というチャンスを自らつくり出し、プロを目指していただきたいと思います!


PROJECT HAL FILM DIRECTOR:
岩本晶

千葉県出身。1991年に映画や特撮・アニメ・ゲームなどのCGムービーを数多く世に送り出している株式会社白組に入社。
映画監督、VFXディレクターとして活躍。
特にゲームムービーのCGディレクターとしての注目度が高く、『パラサイト・イヴ2』『ゼノギアス』『ファイナルファンタジーVIII』『鬼武者2』『デス バイ ディグリーズ』など数々の作品に携わり、近年では『ラグナロク オデッセイ』『フリーダムウォーズ』などを手がけている。
映画やTVドラマの監督としての実績も多く、チーフディレクターを務めた日韓合作3D立体映画『AGE OF PEACE』では、ハイビジョン国際映画祭2001にて個人業績賞を受賞。
2003年には、短編映画『バイアブル』で映画監督としてデビューする。
また、TVドラマ『トミカヒーロー レスキューフォース』では、シリーズ全体のVFXスーパーバイザーを担当し、各話監督を兼務。
TVドラマ『もやしもん』の監督も務め、クオリティの高いCG構成で話題を集める。
緻密に計算し尽くされた演出とダイナミックなCG構成が見る者を魅了する業界屈指のディレクターとして、今後の活躍がますます期待されている。