CG/ANIMATION
2024.12.5
妥協知らずのチャレンジこそが世界を沸かせる!
三宅 拓馬
株式会社ボンズ 3DCGディレクター
CG映像学科(現:CG・デザイン・アニメ4年制学科 CG映像コース)/2013年卒業
佐々木 瑞生
株式会社ボンズ 3DCGディレクター
アニメ・イラスト学科(現:CG・デザイン・アニメ4年制学科 アニメーションコース)卒業/2021年卒業
映像の世界に導いてくれたのはHAL
三宅:思い起こせばHALでの学びが今の私を育む原点だったと思います。きっかけはグループ制作の課題で自分たちのアイドルをつくり疑似ライブコンサートのCGを制作したこと。そこでアニメーションを担当し、キャラクターを動かす面白さにはまりました。この世界へと私を駆り立てた貴重な体験になりました。 佐々木:子どものころからイラストレータを目指していましたが、HALでの映像制作の経験がアニメに路線変更をするきっかけとなりました。そのひとつが、HAL EVENT WEEK(進級制作展)で制作した映像作品「スフィアトアテナ」。キャラクターデザインやコンテをメインに担当し、モデリングやコンポジットにもヘルプとして参加。結果、銀賞を受賞した時は、感無量でしたね。チームでつくりあげる面白さを知りアニメの世界を目指すことにしました。
「チャレンジ」こそが世界を虜にする作品を生み出す「エナジー」
三宅:ボンズに入社してしばらくは、与えられた仕事をこなすのに必死でしたが、経験を重ねるうち限られた指示の中で「自分らしさ」をどう忍ばせるかを考えるようになりました。 たとえば、走るクルマひとつとっても、どうリアルさやカッコよさを出せるか?創意工夫をさりげなく散りばめる。3DCGディレクターに就いてからは、さらに一歩踏み込んで、作品がよりリッチになるためのアイディアを積極的に提案しています。たとえば、2Dで動かしている背景を、3Dでカメラを立体的に動かせばよりダイナミックなアクションに魅せられるのでは?などなど。 いわゆる自分という個性を搭載できるようになった。それこそが、ディレクターの醍醐味であり、やりがいのひとつです。さらに言えば、挑戦し続けることも欠かせないミッションと捉えています。挑戦がないと、毎回、同じ絵しか生まれない。 「チャレンジ」こそが世界中を鷲づかみにする作品を生み出す「エナジー」になると確信しています。
佐々木:担当した『僕のヒーローアカデミア』は、原作が著名で世界的にも人気の作品なので、原作へのリスペクトを大事にしています。 そんな中、静止画である原作に忠実でありたいという思いと、動画であるアニメとして最大限のパフォーマンスを発揮させる絵づくりをしたい、という思いが拮抗するわけです。もっと言えば、アニメとしてどう動かしながら自分の個性を出せるか?という欲も働く。指示に従いながら妥協せず、自分がやりたいことはあきらめない、そんなクリエイター魂に毎回、火が点きます。 またHALでの、作画によるアニメーション制作などCG以外の授業が今、大いに役立っています。「これって必要?」とクールな目で見ていた当時の自分に伝えたいですね。CG映像は様々なクリエイターがスキルを集結してつくりあげるもの。そこでHALで得た自分の専門外の知識や理解がさわり程度でもあったおかげで、他部署と共通言語で会話でき、スムーズなコミュニケーションが得られ、互いのスキルの掛け算による化学反応など、できることへの可能性を広げてくれることを身をもって知りました。
作品のエンドロールに名前が載る、やりがいと責任
三宅:実はこれまで辛いなと感じる時期が何度かありました。仕事量だったりスキルが追いつかないもどかしさだったり、その理由はさまざまですが、その都度、踏ん張って来られたのは「この仕事が好き」だから。また、あきらめない心を与えてくれたのは、歓喜に沸くユーザの姿もそのひとつです。国内はもちろん海外の方々が立ち上がって拍手喝采をしたり、泣いたり叫んだり、作品への感動や喜びを感情豊かに体で表現してくれる様子を観ると、続けてきてよかったと心から思えます。 佐々木:私がこの仕事をやめられないと感じるのは、作品のエンドロールに自分の名前が載った時ですね。両親は、アニメを観ない人なんですが、いつも私の作品を録画。携わったヒロアカの劇場版のDVDも購入してくれました。そんな身近な人の声が、大きなモチベーションになっています。
三宅:3DCGディレクターになってから、大きな意識変革がありまた。それは、私たちは「ビジネスとしてのエンタメを提供する側にいる」ということ。世界中にファンがいて、作品の生みの親の原作者がいて、大勢の人が関わりビジネスをしている。そんなステージでモノづくりをしている私たちは、大きな責任を背負っているんでよね。わずかでも手を抜くと瞬時に見抜かれ、作品の評価は一気に下がってしまいます。反面、一滴の努力の積み重ねが人の心をつかみ、結果、評価も業績もついてくる。「世界の舞台に立っている」ということを肝に銘じ、海の向こうにまで眼差しを向け、待ち焦がれている人々の期待を裏切らないよう、常に真摯に作品づくりと向き合うべきと襟を正しています。今後も、色々なことに挑戦していきたいですね。これまで以上に世界に評価される作品づくりに力を尽くしていきたいと思っています。 佐々木:ある監督と、仕事をご一緒できることになりました。後日、自分が大好きな作品に携わっていた方と知って嬉しさ反面、3DCGディレクターとしてかかわる私としてはプレッシャーがハンパない。そんな願ってもないチャンスを得たわけですから、全力を尽くし、とことんやり切ったと自信をもって言える作品を生み出すことが今、目指す目標です。
子どものころからアニメ好きでエンタメの世界に憧れつつも将来の道は定まらないままCMで知ったHALへ。在学中にアニメーションの面白さにはまり、好きだったアニメ『交響詩篇エウレカセブン』の生みの親、ボンズに2013年入社。トータル25作品の3DCG制作に携わり、代表作『T・Pぼん』『ジョゼと虎と魚たち』他6作品を3DCGディレクターとして担当。
子どものころからイラストを描くのが好きでその道のプロを目指しHALへ。在学中にチームで取組む映像制作の楽しさを知りCGアニメーションの世界へ。卒業後は、以前からボンズの作品『鋼の錬金術師』のファンかつ『就職作品プレゼンテーション』もきっかけとなり同社に入社。代表作は『僕のヒーローアカデミア』など。
株式会社ボンズ
テレビ・劇場・配信用アニメーション映画の制作を担う。『鋼の錬金術師』『僕のヒーローアカデミア』などの原もののアニメ化や、「エウレカセブンシリーズなどのオリジナル作品も発表。 近年では、『T・Pぼん』や『僕のヒーローアカデミア THE MOVIEユアネクスト』『メタリックルージュ』など数々の作品を生み出し世界中から人気を博している。2024年10月より株式会社ボンズの制作部門が分離し、株式会社ボンズフィルムが新設された。