植田 能平 劇伴作曲家 ミュージック学科/2011年卒業

MUSIC

2024.12.5

先生からの言葉「魂の叫びを音にしろ!」がきっかけでドラマや映画の劇伴作曲家に

  • 植田 能平

    劇伴作曲家

    ミュージック学科/2013年卒業

病気が教えてくれた「どうせ生きるなら本気で好きなことをしろ」

プロを目指しバンド活動をしていましたが、20代のころ結婚して就職。あくまでも趣味として音楽を続けていました。ところが26歳の時、私の運命を大きく変える出来事が起きたのです。それは肺がんの発病でした。告知された時は目の前が真っ暗でしたね。でも幸い初期と診断され、手術と1年程の療養入院で完治。その時、同じ病室に余命宣告された末期がんの方が3人入院していたのです。そんな彼らに言われたのは「残りの人生、どうせ生きるなら好きなことをやった方がいいぞ」という言葉。私の胸に強く刺さり、「どうせ生きるなら本気で音楽をやろう」と決意しました。

突然訪れた仕事のチャンス

その後、作曲家を目指し最新設備が整ったHALに入学。そこである先生に言われた「魂の叫びを音にしろ」という言葉が強烈に心に響きました。テクニックや機械に依存しない曲づくりの極意と作曲家として生き抜くための礎を授けてくれたと思います。 卒業後、HALの先生から声をかけていただいた効果音の仕事に3年ほど従事。そして突然チャンスが訪れました。あるセミナーでテレビ局の方にデモテープを聴いていただけ仕事の依頼が!それはドラマの中で流れるピアノ曲でタイトル『疾走』。余命1年を宣告された末期がんの主人公が作曲した曲という設定で、いみじくも肺がんを患った当時の私と重なる思いが・・・。結果、視聴者からの反響で配信や楽譜が発表されるなど、高い評価を得ることができました。

揺るぎない信念と魂の叫びが夢をかなえてくれた

後日、私はある事務所のアシスタント職に就くことができました。それは休みも寝る間もない修行の日々。きつかったですが、でも、楽しかったんです、業界に携われた事が。ひたすら頑張り続けましたね。そして、39歳の時に家族の助言と支えもあり、ついに独立。出逢ってきた方々にデモテープを送ったり連絡をすると、たくさんの方から「仕事、お願いするよ」と声がかかり…。溢れる感謝の気持ちと作品と自分のために曲を書けるという、熱いものが胸にこみ上げました。あきらめずに続けてきて良かったと心から思います。決して評価されているとは思いませんが、「なぜオファーをいただけるのか?」と問いてみると自己主張に徹せず、映像を引き立てるわき役に徹し、ひとつ一つの作品に心から向き合い、寄り添い、ニーズを汲み取る正確さとスピードがその理由だと感じています。 まだまだ道半ばですが、今後も高みを目指し「どうせ生きるなら、好きな道を究める」という揺るぎない信念のもと「魂の叫びを音にしろ」というHALの先生の言葉を胸に、一曲一曲に全身全霊を投入し続けていきたいですね。

植田 能平

劇伴作曲家

ミュージック学科/2013年卒業

植田 能平

音楽の道があきらめられずHALミュージック学科に入学。卒業後、劇伴音楽やゲーム音 楽の制作アシスタントを経て、現在はフリーランスとして『わたしの宝物』『君と世界が終わる日に』『サンクチュアリ-聖域-』『リンカイ!』など数多くの劇伴、アニメ、ゲーム音楽を担当。強い信念で長年の夢をしっかり実現させている。

《主な作品》

・わたしの宝物(2024年10月木曜劇場にて放送) ・リンカイ!(2024年4月放送、10月サウンドトラック配信予定) ・劇場版 君と世界が終わる日に FINAL(2024年1月全国劇場公開) ・君と世界が終わる日に Season5(2024年2月Hulu配信開始) ・サンクチュアリ-聖域-(2023年5月Netflix配信開始)