2017.6.15

迷いがあるなら止まれ、決めたのなら迷わず進め。

  • 佐藤 智之

    先端ロボット開発学科/2015年卒業

滋賀県にある米原駅に降り立つと、ひときわ目を引く広大な建物がある。それがヤンマー株式会社の中央研究所だ。そこでプレジャーボート(船艇)の改良を手がけているのは、2015年に先端ロボット開発学科を卒業した佐藤智之さん。現在の仕事について聞くと「やはり“モノが動く”というのは純粋に楽しいです」と嬉しそうに語る。就職先をヤンマーに決めたのは、「トラクターや農機のイメージが強い方も多いと思うのですが、海、陸、都市と活躍するフィールドが広いんです。しかもエネルギーもつくっている。自分の力を未来をつくることに使いたかった」から。 そんな佐藤さんがHALに入学する前に大学で学んでいたのは、意外にも「薬学」だった。進学校で理数系を専攻していた佐藤さんは、大学進学に際に迷うことなく薬学を選んだのだそうだ。大学では学業のかたわらアーチェリー部に所属。授業以上に部活に精が出た。それでも、学業をおろそかにするようなことは一切なく、単位取得はもちろん、優秀な成績を修めた。順調に歩んできた矢先、大学3年生の時に転機は訪れる。実は薬学部は6年制だが、部活は他大学と合せて3年で引退となるのだ。このまま4年生になれば薬学と向き合い、薬剤師になる道が待っている。そう考えたとき、自分が好きなこと、本当にやりたいことはなんだろうと自問した。 「小さいころからメカやロボットが好きでした。分解したり、組み立てたり。組み立てたものがちゃんと動く瞬間が好きでした」。“自分が好きなのはメカ”。そう決断した佐藤さんは3年生になるや学校を探し始めた。「HALに先端ロボット開発学科があることを知りました。実は兄もHALのゲーム学部OBで、小さいころからゲームが好きでゲーム会社に就職したんです。身近に夢をかなえた人がいる。これは行くしかないってなりますよね(笑)。それに4年制もあったのでしっかり勉強できると思いました」。

寝ても覚めても没入できることに出会えた!

大好きなアーチェリーをやり切り、大学を中退。HAL入学当時は“薬学よりも自発的に学べるのがメカ”という程度の気持ちだったが、学内イベントを通じて それは“寝ても覚めてもものづくりしたい”という強い気持ちに変わっていった。「自分があんなに集中することがあるんだとHALで知りました(笑)。ものづくりはそんな風に没頭できるんですけど、グループ制作はいい意味で没頭できない。とにかく問題が頻発しました。計画を立ててみんなでつくりあげる、ということに慣れていなかったのもありますが、原因は“認識のズレ”という初歩的なものがほとんど。でも、それを経験できたことは大きい。現在の業務では、少しでもわからなかったり疑問に感じたことは担当者とのすり合わせや共有を徹底しています。HALでの反省がここで活きているのだと感じます」。 アーチェリー部の仲間に再会すると、みんな薬剤師になっている。違う道を選択したけれど、充実した今を生きる自分を見せることができる。そんな経験をした佐藤さんだからこそ、強く言う。「今やっていることに、もし何かしらの迷いがあるんだとしたら、立ち止まって本当にやりたいことは何かを考えるべきです。その道でちゃんとやるんだ、という強い意志があれば道は拓けます、必ず」。

佐藤 智之

先端ロボット開発学科/2015年卒業

ヤンマー株式会社に入社以来、船舶の研究開発を担当。主にフィッシング用、レジャー用と多彩なラインアップを取り揃えるプレジャーボートの改良を行なっている。

ヤンマー株式会社

発動機、農機、建機、小型船舶の製造を主幹に、2012年に創業100周年を迎えた。それを期にミッションステートメントを改良。「最大の豊かさを、最少の資源で実現すること」をコンセプトに「食料生産」と「エネルギー変換」の分野で様々な課題解決に貢献する。