GAME
2018.4.14
ゲームが好きだからこそ妥協せずにこだわるプランナー
中神 広太郎
ゲーム制作学科/2011年卒業
中学時代にゲームで感銘を受けゲームのプレイヤーからつくり手へ
2011年の入社以来、セガゲームスで中神広太郎さんが手がけているゲームは『ファンタシースターオンライン2』。日本のオンラインゲームを代表する人気タイトルだ。最初の2年間はプログラマーとして細かなオブジェクトの作成や実装を担当し、その後は自らの意思でプランナーへ転身。5年目となる現在は、ゲーム内「エピソード5」のメインプランナーとして多忙な日々を送っている。 そんな中神さんは、とにかくゲームが好きな少年だったという。 「 プレイするのもつくるのも好きでしたね。中学時代にとあるゲームと出合い『ゲームってこんなにも人の心を動かせるんだ!』と感銘を受けたんです。そこからですね。『ゲームをつくる人になりたい』と強く思うようになりました」。 高校生になり、RPGゲームを自作するようになった中神さんは、WEB上のユーザ投票によって上位作品が選ばれるコンテストに初めて自分のゲームを出品。 「誰でもダウンロードできるシステムだったこともあり、某掲示板では僕のつくったゲームがとにかく叩かれ、散々な経験でした」。ところが、その経験こそが中神さんを「本格的にゲームづくりを学びたい」という思いへ駆り立てた。高校卒業後の進路として考えたのはゲームづくりが学べる専門学校。しかも、就職活動では大学生と戦うことになるので、同じく4年制の専門学校を条件にした。おのずと候補は絞り込まれ、最終的にHALのゲーム制作学科を選んだ。
ディレクターへの道を見据えプランナーへ転身
中神さんはセガゲームスに就職後、プログラマーからプランナーへ転身したという珍しいキャリアを持つ。「将来はディクレターになりたい」と考えるようになったのがその理由だ。 「新人の頃、とある打ち上げの場で当時のディレクターから『将来何になりたいのか』と聞かれました。『ディレクターになりたい』と僕が伝えると、『だったらプログラマーよりもプランナーになった方が近道だよ』と。そんなルートがあるとは考えもしなかったので驚きましたが、翌年からプランナーとしてのスタートを切ることになりました」。 中神さんが仕事で最も大切にしているのは、自分で妥協しないこと。 「与えられた条件の中で最大限のパフォーマンスをして、自分が面白いと思えるところまでつくり込みたい。そうしないと、お客様は絶対に面白いとは思ってくれません。自分の友達にも『面白いから一緒に遊ぼうぜ』と言えるくらいのところまでは絶対につくり込もうと決めているんです」。 人に負けない自信があるのは、ゲームをつくりたいという熱意だと中神さんは言う。 「今でもゲームをするのは大好きですが、職業柄、つい色々分析しながら遊んでいますね。なぜこのタイミングで面白いと思ったのか、つまらなく感じるのか。次々と生まれる色々な感情に対して、その理由を考えながらプレイするんです。映画などを観ていても、その世界観が珍しいなとか、この発想はなかったという部分を吸収したり、コンシューマーゲームではなく、インディーズゲームからも学ぶことはたくさんありますよ」。
日々の仕事では斬新さを求められることが多い。でも、「奇抜なだけなら誰にでもできる」と中神さんは言い切る。「ゲームの性質上、絶対に壊してはいけない部分があります。僕の携わっている『ファンタシースターオンライン2』は長期運営のゲームなので、それまでユーザが積み上げてきたものやつくり込んできたキャラクターを崩してしまうことはタブーです。そんな奇抜さをユーザは求めていないし、面白いとも思わない。斬新なアイディアというのは結局のところ、色々な人に受け入れられて初めて成り立つものだと思っています」。 例えば、中神さんは新人プランナー時代、同ソフトで「採掘基地防衛戦」という新コンテンツづくりに携わった経験を持つ。 「初めて複数人数で遊ぶクリア難易度の高いコンテンツを導入することになりました。仕様を精査し、ユーザ間のトラブルが起こらないよう、兵器が使える回数を個別にして取り合いにならないようにしたり、クリアまでの6ウェーブの難易度配分を工夫したり、『簡単じゃないけれど、もう少し頑張ればいけるんじゃないか?』と、ポジティブな気持ちでチャレンジできるようにした結果、大きな反応が得られました」。
2012年のサービス開始以来、国内最大級のオンラインRPGとして人気を保ち続ける『ファンタシースターオンライン2』。 中神さんは現在、エピソード5の制作に携わっている。
「変わるなら今しかない」HALでの4年間を決定づけた担任の言葉
「在学中の経験で一番衝撃を受けたのが、入学直後の最初のホームルームで担任の先生に言われた言葉です」と中神さん。「先生は『今、君たちの周りに知り合いは誰もいないはずだ。だから自分を変えるなら今しかないぞ』と熱弁してくれたんです。確かに僕はゲームが好きだけれど、人に自分の思いや考えを伝えるトークが苦手でした。就職活動では面接もあるし、将来プランナーやディレクターになったら、それこそ人とのコミュニケーションが重要となります。どうせ知り合いはいないんだから、変わるなら今しかないと」。 そうして中神さんは、思い切って学内のアシスタントスタッフに応募。「体験入学のフォローや、人前で何かをプレゼンする機会も多く、人に想いを伝える技術はHAL時代に相当鍛えられたと思いますね。HALには自分を変えられる条件が揃っているので、その先は自分次第。将来やりたいことのために、どれだけ自分から動けるかも大切です。後輩のみなさんと将来業界でお会いできるのを楽しみにしています」。 ※卒業生会報誌「HALLO」71号(2017年11月発刊)掲載記事
中神 広太郎
ゲーム制作学科/2011年卒業
2011年にHALを卒業後、同年4月に株式会社セガ(現:株式会社セガゲームス)入社。ゲームプログラマーとして『ファンタシースターオンライン2 』の開発に携わり、2年後にプランナーへ転身。プランナー5年目となる2017年10月現在、同作「エピソード5」のメインプランナーとして活躍中。
株式会社セガゲームス
『龍が如く』シリーズ、『ファンタシースターオンライン2 』など、家庭用ゲーム機、PC、およびスマートデバイス向けゲームやデジタルサービスの企画・開発・販売などを行う。1951年創業とその歴史は古く、多彩なコンテンツのヒット商品を世に送り出し続けている。