GAME

2014.2.14

HALとのダブルスクールを成功させたのは、 持ち前のモチベーションの高さ。

  • 宮野貴志

    楽天株式会社 システムエンジニア

    ゲーム学科(夜間部)/2011年卒業

HALの夜間コースには、大学生も多く通っている。いわゆるダブルスクールというやり方だ。 昼間は大学に通い、夜はHALで専門的な勉強をする─。 ことばで書くと簡単だが、実際には時間的にも体力的にも厳しい生活を送ることになる。 大学と並行してHALで学んだ宮野貴志さんは、いかにしてダブルスクールを成功させ、今の仕事につなげたのだろうか。

時間的にも体力的にも大変だった 大学とHALとのダブルスクール

夜間コース・ゲーム学科を2011年に卒業した宮野貴志さん。卒業後、日本を代表するIT企業『楽天』に入社してから2年半。現在は、システムエンジニアとして働いている。 「今はWEBの決済システムの開発をしています。『楽天市場』や『楽天トラベル』、『楽天ブックス』、『楽天カード』などのサービスを通して、多くの人に使っていただいていますね。最近はプロ野球チームの優勝セールがあったりして、かなり忙しいですよ(笑)」 仕事で忙しいながらも充実した毎日を送っているという宮野さんだが、実は学生時代にはさらに忙しい日々を送っていた。というのも、宮野さんは昼間は大学、夜間はHALに通うというダブルスクールをしていたからだ。 「法政大学に通っていて、3年生のときにHALのゲーム学科へダブルスクールで入学しました。もともとゲームをつくりたくて大学も情報科学部に入学したのですが、そちらでは広く浅い基本的なことを学ぶだけで、ゲームをつくるなら独学でやるしかなかったんです。それなら専門学校に行って、より深いことを学んだ方が良いなと思いました」 より専門的にゲーム制作を学びたい。その思いからHALに入学した宮野さんだったのだが、飛び込んだ先には、予想を越えた忙しさが待っていた。時間的にも体力的にも厳しい毎日だったという。 「昼は大学、夜はHALという生活を2年間続けました。時間のやりくりにはかなり苦労しましたね。最初はそうでもなかったんですが、2年目が一番忙しかったです。ちょうど大学が4年生だったので、そちらの研究もしなければならず、HALに来られないこともありました。当然バイトをする時間もありません。大好きなゲームをする時間もかなり減ってしまいました。体力的にも大変で、家に帰ってきたら倒れこんで寝てしまうことも多かったですね」

体力的にも精神的にも厳しいダブルスクール。そんな宮野さんを支えたのは、「自分の好きなことをやれている」という気持ち。そのモチベーションの高さに救われたそうだ。 「昼と夜でやっている内容が違うので、頭から抜けてしまわないように復習をしっかりしていましたね。大変でしたけど、やめたいと思ったことはありませんでした。嫌いなことは1秒だって無理な性格。好きなことだから続けられたんだと思います」 そうした経験を踏まえて、宮野さんはダブルスクール志望者に厳しくアドバイスする。 「本当に興味がないのであればダブルスクールはやめておいた方が良いです。長続きしなくて後悔することになるし、言われてやっているようでは1年も持ちません。自分が続けられたのは、単純にやりたいことだから自発的にやれたというだけなんです」 そんな宮野さんにとってHALでの一番の思い出は、ニンテンドーDSの開発機を使えたことだそう。 「開発機は本来、開発会社の人しか触れないものなんですよ。それを使ってゲームづくりを学べたことは本当に良かったですね。コードでつながれて据え置き機みたいに置かれている開発機は、とても新鮮でしたし、それに触れられたことは良い経験になりました」

先生からもらったアドバイスで、 就職活動の幅を広げた

ゲーム制作をやりたくてHALへ入学した宮野さんは、当然のように卒業制作でもゲーム作品をつくった。しかし、最終的に就職を決めたのはIT業界。方向転換のきっかけになった のは、就職指導担任の先生からもらったアドバイスだった。 「最初はゲーム会社以外、考えていなかったです。就職活動でもゲーム会社ばかり受けていました。でもそんなときに先生から、視野を広げてみた方が良いんじゃないかというアドバイスをもらって、たしかにその通りだなと考え直したんです。ゲーム会社だけにこだわるとつぶしもきかなくなりますし、あとから転職するという方法もありますからね」 ゲーム業界とIT業界。つくるものは違っていても、学んだスキルがそのまま活かせるということも宮野さんの背中を後押しした。 「プログラムやコーディングなど、HALで学んだことが活かせる職場を選ぶことにはこだわりました。とにかくキーを叩きたい。それに、自分がつくったものをより多くの人に知ってもらいたい。そんな思いで就職活動をした結果、楽天への入社を決めたんです」

ハードウェアの仕事にも興味あり 今後はさらに視野を広げたい

現在の職場でも、HALで学んだ技術・考え方はしっかり活きていると宮野さんは語る。「限られた時間でものをつくり出さなければならないというのは、学生時代の課題も今の仕事も同じですね。独学や趣味で1人でやっているだけだと、どうしても無制限に時間があるのでだらけてしまいます。時間をやりくりしながら、制限の中でベストなものをつくるというのはどの仕事でも必要とされる重要なスキル。それをHALの学生時代に経験できたことは良かったですね。その経験はかなり仕事に活かせています」 視野を広げたことで自分の可能性を広げ、就職活動を成功させた宮野さん。今後、やってみたいことはハードウェア寄りの仕事。「たとえば空調設備とか冷蔵庫とか、そういったハードウェアにセンサーを使って何かをするとか、そういうことも将来的にはやってみたいですね。中学生の頃に技術科目があって、そこで電子工作をするのが大好きだったんです。それがきっかけでコンピュータに夢中になっていったので、そちらの方向も将来的に携われたら良いなと思います」 ダブルスクールでつかんだ夢を携えて、宮野さんはさらに飛躍しようとしている。 ※卒業生会報誌「HALLO」67号(2013年11月発刊)掲載記事

宮野貴志

楽天株式会社 システムエンジニア

ゲーム学科(夜間部)/2011年卒業

法政大学在学中に、HAL東京・夜間コース・ゲーム学科に入学。ダブルスクールでプログラムを学んだ後、2011年に卒業。楽天にシステムエンジニアとして入社する。現在は『楽天市』『楽天トラベル』『楽天ブックス』『楽天カード』などのウェブ決済システムに携わる。

楽天株式会社

日本国内最大級のインターネットショッピングモール『楽天市場』をはじめ、『楽天トラベル』『楽天ブックス』『楽天カード』など様々な事業を展開する大手IT企業。2000年ジャスダック上場。グループ会員は8,200万人に上る。2012年には社内公用語を英語化したことでも話題を呼んだ。