IT/WEB/AI
2021.1.27
芸能人のYouTubeをプロデュース コロナ禍で見出した動画配信の可能性
田中 遼太郎
ALPHABOAT合同会社 映像制作プロデューサー
マルチメディア学科(現:高度情報学科)/2006年卒業
テレビから動画の世界へ、新たな挑戦
─2020年になってYouTubeチャンネルを開設する芸能人が一気に増えたが、それ以前から芸能人のYouTube活動をプロデュースしていたのがALPHABOATだ。プロデューサーの田中さんはいち早く動画の可能性に着目し、数々の挑戦を行ってきた。 僕はもともとMTVの出身なんです。MTVは音楽を“聴くもの”から“テレビで見るもの”に変えましたが、それも今となっては過去のカルチャー。若い世代にとってMVはテレビですらなく、YouTubeで観るものになっています。それに気づいてから、自分も新しい音楽カルチャーに身を置きたいと考えていました。そんなときに元MTVの先輩に口説かれてALPHABOATにジョインし、今はミュージシャンを中心にYouTubeのプロデュースをしています。登録者数、再生数といった数字はもちろん重要ですが、それらはアーティストが求めるべき真の評価ではないはず。彼らの主戦場は別にあり、YouTubeは本業をブランディングするための手段です。僕はいつも「彼らにとって本当に必要な動画なのか」を考えて制作しています。
リアルとデジタルの両方でエンタメを発信したい
─コロナによりエンターテインメントは大きく変わった。イベントやライブは無観客での開催を余儀なくされ、デジタル配信によるオンライン視聴が新たなムーブメントとして盛り上がりを見せている。 無観客ライブのデジタル配信は当初、コロナで仕方なく始めた妥協案でした。しかし、実際にやってみるとリアルのライブにはないメリットがあることもわかってきたのです。たとえばカメラを置く位置にしても、観客を入れないことで自由度は大きく増し、その結果、斬新な映像表現も可能になりました。デジタル配信ライブはリアルライブの“代わり”にはなり得ないが、また違った表現や楽しみ方ができる“新たなエンターテインメント”として根付きつつあり、最近では「リアルのライブよりも好き!」という声も聞かれるほどになりました。デジタルでもリアルでも現場の熱量は変わりません。今後はコロナに関わらず、リアルとデジタルのいいとこどりをしながら最高のエンタメを発信し、アーティストの才能を世の中に伝えていきたい。それが僕のやるべきことです。
YouTubeプロデュース
ロックミュージシャンの『MIYAVI』とは長い付き合いだという田中さん。コロナ前は海外が活動拠点だった『MIYAVI』が、日本のファンに向けて情報を発信したいと希望したことが一緒に仕事をするきっかけだったという。近年は『MIYAVI』のツアーの模様をオフも含めてすべて撮影し、ロードムービー風に仕上げたドキュメンタリー映像としてYouTubeに公開。大きな反響を得た。コロナ後は自宅から生配信に挑戦。そういった活動を影でサポートしているのが田中さんである。他にも『SKY-HI』の実家生配信ライブなど斬新な企画を次々に実現させている。
※卒業生会報誌「HALLO」74号(2021年1月発刊)掲載記事
HAL在学中にミュージックチャンネルMTV(バイアコム・ネットワークス・ジャパン合同会社)にインターンとして採用され、卒業後に就職。その後、元MTVの先輩にヘッドハンティングされ、ALPHABOATに入社。現在は映像制作プロデューサーとして芸能人のYouTubeチャンネルのプロデュースなどを行っている。近年の主な実績に、ミュージシャンの『MIYAVI』や『瑛人』、『SKY-HI』、『Every Little Thing』のギタリスト伊藤一朗、スターダストプロモーション所属のダンスボーカルユニット『M!LK』、元サッカー日本代表選手・中澤佑二などの公式チャンネルがある。また、コロナで需要の増した映像配信事業も開始。ライブコンサートの配信やTVの中継サポートから企業のセミナー配信まで幅広く手掛けている。
ALPHABOAT合同会社
住友商事株式会社のデジタルメディア事業を推進するSCデジタルメデイア株式会社、映画や演劇を手掛ける東宝株式会社、世界最大級のUGCクリエイターネットワークを擁する米FULLSCREENの3社で設立されたソーシャル・エンターテイメントのスペシャリスト集団。