IT/WEB/AI
2016.12.12
ソフトウェアを様々な障害から守る品質管理の仕事 業務をスムースにしたい、その思考がIT業界へ進む糸口に
伊藤 彰嗣
サイボウズ株式会社 セキュリティ室 Cy-SIRT事務局
マルチメディア学科(現高度情報処理学科)/2006年卒業
新しいものを創り続けることは困難だが、それが危険にさらされないよう守り続けることもまた、同じくらい難しい。特にその発展が著しいIT業界において、要となるのは「創る」ことではなく、見えない脅威から情報を「守る」ことである。
2006年にHALのマルチメディア学科(現 高度情報処理学科)を卒業した伊藤彰嗣さんは、サイボウズ株式会社の品質保証部で品質保証責任者として日本の情報セキュリティの一端を担う一人だ。サイボウズ株式会社は、企業向けに社内の情報を管理して円滑に業務を行なえるようにするグループウェアやデータベースシステムなどを提供しているトップ企業である。
伊藤さんは、サイボウズ製品における試験プロジェクトの運営やセキュリティインシデントの対応などを行う品質保証部に所属しながら、脆弱性報奨金制度の導入などコンサルティングの面でも活躍している。クラウド事業へ本格参入のきっかけとなったサイボウズの主力製品「cybozu.com」をはじめとする、サイボウズ全社のセキュリティを一身に担う組織「CSIRT」の立ち上げにも携わり、責任者という立場になってからも、現場で積極的に手を動かす日々を送っている。
昔から自分が目指すもの、夢中になれるものはあった。化学分野に興味があり、大学に進学して繊維について研究。また、カードゲームショップでアルバイト先するかたわら、プロのカードゲーマーとして賞金を稼いでいた。ところが、アルバイト先で在庫管理をするシステムに触れたことが、伊藤さんの人生を一転させる。「自分でつくったシステムで仕事がスムースになる」、その面白さに心を奪われ、IT業界に進むことを決めた。大学もカードゲームのプロもやめ、HALのマルチメディア学科(現 高度情報処理学科)に入学することとなる。「HALでプログラムの書き方から、チーム開発、プロジェクトマネジメント技法を実践できるようになったことが、サイボウズ入社後の役に立ちました。また、ソフトウェア開発技術者試験の資格取得の過程で、情報工学の基礎を学ぶことができたことで、幅広い業務をスムースに実施できました」と伊藤さんは語る。 サイボウズとの出会いはHAL在学中の3年生のとき。インターン先の印刷会社で、社内コミュニケーションを実現するシステムの開発プロジェクトに参加した際に、サイボウズ社の便利なソフトウェアを見つけたからだという。
進むはずだった道からの大きな方向転換。そんな大きな決断をした伊藤さんに在校生へメッセージをいただいた。「私は次の3つを大事にしています。『何にでも興味を持って楽しむこと』『技術を学ぶだけでなく、手を動かして技術を確認すること』『外部の勉強会に積極的に参加すること』。ですが、在校生の皆さんは、なによりも学生生活を楽しんでくださいね」。何事も楽しみ吸収していくこと、その信念こそが伊藤さんが守り続けるものなのかもしれない。
HAL名古屋を卒業後、サイボウズ株式会社に入社。自社製品における試験プロジェクトの運営やセキュリティインシデントの対応などを行う品質保証部に所属しながら、脆弱性報奨金制度の導入などコンサルティングの面でも活躍している。
サイボウズ株式会社
1997年設立のソフトウェア開発会社。クラウドベースのグループウェアや業務改善サービスを軸に、社会のチームワーク向上を支援する。代表的な製品に2011年に開始したクラウドサービス「cybozu.com」などがあり、販売実績は中小企業から大企業まで業種を問わず1万7,000社超える。