GAME
2019.4.15
ゲームプランナーという夢をかなえ 憧れのタイトルに関われる幸せ
田部井 弘貴(たべい ひろき)
株式会社スクウェア・エニックス ゲームプランナー
ゲーム制作学科(現:ゲーム4年制学科 ゲーム制作コース)/2014年卒業
目指すはゲームプランナー 強い信念を持ってHALへ入学
子供の頃に遊んだゲームの面白さに感動して“ゲームの内容を考える仕事”に憧れた経験を持つ人は多いだろう。どんなゲームにするのかを考えるのは『ゲームプランナー』の仕事だが、新卒でいきなりプランナーになるのは難しい。ゲームは今や1人ではつくれないエンターテインメントであり、著名なタイトルでは開発人数が数百人に達することも少なくない。関わる職種もプログラマー、グラフィックデザイナー、サウンドクリエイターなど多種多様であり、プランナーは彼らと密にコミュニケーションをとりながらゲームの内容を考えていく必要がある。企画力だけでなく、技術に関する知識、大勢の意見をまとめて落としどころを探るコミュニケーション力やマネジメント力も求められる仕事だけに、経験を経ていないと難しい面もある。 そんなゲームプランナーに憧れてHALの門を叩き、夢をかなえたのが田部井弘貴さんである。幼少期に『ファイナルファンタジー』シリーズに感動し、「このゲームに関わりたい」という思いを抱いてHALのゲーム制作学科に入学した。卒業後はゲームプランナーとして株式会社スクウェア・エニックスに入社。オンラインゲーム『ドラゴンクエストX』のプランナーを経て、現在は『ファイナルファンタジー VII リメイク』のバトルデザインチームで企画に携わっている。
ドラゴンクエストシリーズ第10作。ナンバリングタイトル 初のオンラインゲームとして2012年にサービスを開始。 田部井さんはバージョン3へのアップデートに関わった。
1997年に発売され、世界で1,000万本以上の売上を記録した『ファイナルファンタジー VII』のフルリメイク作品。現在開発中であり、田部井さんはバトルデザインチームに所属している。
チームで意見を出し合うことで想像以上にクオリティが高まる
現在手がけているのは敵キャラクターのバトル中の動きだ。どのように動かしたいかを考えたら、その内容をどう実現するかをプログラマーやデザイナーと相談して検討する。「たとえば、敵が持っている武器を投げるなら、その動きをデザイナーにつくってもらわなくてはなりません。また、飛んでいく武器の軌道はプログラムで制御するので、その部分はプログラマーにお願いする必要があります」。 すべてが思い通りになるわけではない。リソースや技術の問題で開発メンバーから「無理だ」と言われることも多い。そんなとき、学校で学んだプログラムの知識を生かして「この方法ならどうですか?」と提案することもあるという。メンバー同士、しっかりとコミュニケーションをとり、最善の着地点を探っていく。「逆にメンバーから提案されることもあり、想像以上にクオリティの高いものができることも。1+1が3にも4にもなるのがチーム制作の醍醐味なんです」。
学生スタッフのリーダーとして200名をマネジメント
ゲームプランナーとして才能を開花させた田部井さん。学生時代からすでにその能力は際立っており、プログラムや企画力といった技術的な面だけでなく、チームのまとめ役としても高い評価を得ていた。 特に田部井さん自身も「良い経験だった」と振り返るのが、アシスタントスタッフのリーダーとして200名の学生を率いた経験だ。オープンキャンパスなど学内行事のサポートが主な仕事だが、田部井さんはさらにアシスタントを務める学生たちの管理も任されていた。シフトの調整やモチベーションの管理、成績が下降気味な学生のフォロー、ひとり1人との面談、次の世代へのノウハウの引き継ぎなど、その仕事ぶりは学生というよりも企業のマネジメント職に近いものだったという。「将来はディレクターやプロデューサーとして開発チーム全体を指揮できるような仕事に就きたいと考えています。そうなったとき、きっとあの経験が生きると思います」。
憧れのディレクターのもとでプロとしての経験を積んだ
プランナーとして実績を積み、いずれゲーム全体の構想を考えるディレクターになるのが田部井さんの当面の目標だ。そんな田部井さんには憧れのディレクターがいるという。「新卒で『ドラゴンクエストX 』に配属されたとき、当時のディレクターが何かと相談してくれる方だったんです。まだ新人だった私にも『田部井くん、これどう思う?』と聞いてくれて、すごいなと思いました」。 当時の田部井さんは入社したばかりで、まだ右も左もわからない状態。それでもディレクターは田部井さんに意見を求め、真剣に耳を傾けてくれた。そういったディレクターが指揮をとっていたからこそ、プログラマーもデザイナーもどんどん意見を出し合う風通しの良い環境が生まれていた。「こんな人もいるんだと思いました。おかげですごく成長できたし、勉強にもなりました。オンラインゲームの現場はかなり大変だったけど、あの経験のおかげで今の自分があると思っています」。 順風満帆に思える田部井さんの経歴だが、決して平坦な道ではなかった。どうすれば目指す道にたどり着けるのかわからず、不安を抱えていた時期もあったという。「ときにはゲームクリエイターが集まる勉強会に参加して、何をすればプランナーになれるのか聞いて回ったこともあります」。 そしてつかんだゲームプランナーという夢。後輩へのエールを求めると、力強い言葉が返ってきた。「プロになるためには、まず“プロであろうとすること”です。楽しみながら夢をかなえてください」。
高校卒業後、ゲームプランナーを目指してHALのゲーム制作学科に入学。卒業後、株式会社スクウェア・エニックスに入社。『ドラゴンクエストX 』のゲームプランナーを経て、現在は『ファイナルファンタジー VII リメイク』のバトルデザインチームで企画に携わっている。 ※卒業生会報誌「HALLO」72号(2018年11月発刊)掲載記事
株式会社スクウェア・エニックス
『ドラゴンクエスト』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズなどで知られる日本屈指のゲームメーカー。2003年にエニックスとスクウェアの合併により誕生した。数多くのスタークリエイターを輩出し、現在もプラットフォームを問わず多数のヒットタイトルを生み出し続けている。